研究の概要
1.煮る調理に関する研究
日本調理科学会近畿支部煮る研究分科会で2000年から6年ごとに「関西地区の家庭における煮物調理の実態調査」を実施している。煮物調理は和食の代表的な調理法である。
PFCのエネルギー比率においてバランスの取れた食事として日本食が世界的に注目されているが、近年の日本人の食生活の変化に伴い、このバランスが欧米型に傾いている。調査開始から20年経過しているが、家庭における煮物調理の実態を分析することで、世界文化遺産である和食の継承に貢献する。また、我が国における食糧自給率を向上させることにもつなげていきたい。
2.奈良の食文化研究
NPO法人奈良の食文化研究会の副理事長として、奈良の食文化を広く紹介する活動を行っている。1999年から同会のメンバーが県内各地を分担して取材し、毎月1回奈良新聞コラム記事を掲載してきた。2024年4月には過去の取材記事をもとに、再取材や話題の統合などを重ね、現状に合わせて編集した「奈良にうまいものあり!ー伝えたい郷土の味100話」を発刊した。第1章では「柿の葉すし」や「三輪そうめん」「大和のきなこ雑煮」など郷土料理を、第2章は「椿菓子」「三笠」など菓子について、第3章では「ブランドイチゴ」「結崎ネブカ」「大和肉鶏」など奈良県を代表する食材を、第4章では「古代ひしお」「古代チーズ蘇」などの加工品、第5章は「菩提酛を使った清酒」「柿ワイン」などの飲料、第6章では「東大寺の結解料理」などの社寺の食事を掲載している。奈良県で受け継がれてきた食文化を継承しながら地産地消の推進するための一助としたい。