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2022年12月15日

お正月と雑煮


 師走に入り、今年もあとわずか。もうすぐお正月がやってきます。皆さんはお正月どのように過ごされますか?
 日本では1年を通して「桃の節句」「端午の節句」など季節ごとの行事があり、それぞれの行事で食べる特別な行事食が作られてきました。お正月と言えば「お雑煮」ですよね。「雑煮」の語源は「煮混ぜ(にまぜ)」でいろいろな具材を煮合わせたことからきています。お正月にお迎えする歳神様に供えた餅や里芋、人参、大根などをその年の最初に井戸や川から汲んだ水「若水」を使って調理し、新年最初の火で煮込み、元旦に食べたのが始まりと言われています。お正月には「祝い箸」という両端が細くなったお箸を使いますが、これは一方を人が使い、もう片方を神様が使う「神人共食(しんじんきょうしょく)」を表したものです。神様にささげる供物なので、その土地で取れた特上の食材が使われる究極の地産地消と言えるのではないでしょうか。
 日本全国その土地柄を感じさせる産物が具材として使われ、地域により餅の形も「丸餅」と「角餅」があり、餅を「焼く」か「煮る」か、汁は「みそ仕立て」か「すまし仕立て」かなどバラエティーに富んだお雑煮があります。

  奈良では「大和雑煮(写真出典:NPO法人奈良の食文化研究会)」として、ほかの地域にはない独特の食べ方で、全国的に知られるようになった雑煮が食べられています。餅は丸餅を焼き餅で入れ、汁には麹の割合の多い白味噌を使っています。具材には奈良の伝統野菜に指定されている「祝い大根」を輪切りにしたもののほか、人参、里芋、豆腐が使われています。餅を食べる時は、小皿に入れて添えられた甘いきな粉をつけていただきます。餅を汁から取り出して甘いきな粉をつけて食べるという雑煮は日本全国ほかの地域にはない特徴です。稲穂の色に似たきな粉を添えることで豊作の縁起をかつぎ、きな粉を「金」に見立てて新年を祝ったといわれています。


 私もメンバーとして参加している「奈良の食文化研究会」では、奈良の郷土料理を紹介する活動を続けていますが、この度NHK奈良放送局で「大和雑煮」を取り上げていただき、12月19日18時30分からの「ならナビ」で放映されることになりました。是非ご覧ください。