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2019年04月05日

歓迎の言葉


  本日、入学を許可された、生活未来科には、ベトナム、バングラディシュからの留学生も3名入学しています。また、日本語教育別科にもベトナムとバングラディシュからの留学生14名入学でございます。
 さらに、本学と交流協定を結んでいる中国の大連大学や中国閩南師範大学から4名の交換留学生も入学しています。
留学生たちの慣れない日本での学生生活を、周りから支えて頂きますとともに、お互いの国の伝統や文化、習慣などについてグローバルな視野を広げる機会となることを、大いに期待するところでございます。
 さて、今、奈良佐保短期大学への入学を許可された皆さん、ご入学、誠におめでとうございます。これから始まる短期大学での学生生活を、皆さん一人ひとりがどのように展開されるのか、非常に楽しみでございます。
 また、社会人としての経験に加えて、新たな資格を取得して、更に飛躍するべく入学された皆さん、皆さんのその挑戦に期待しています。
さて、もう少しで満開を迎えますが、本学の長い歴史を知っている、美しい桜とともに、皆さんをお迎えすることができたことを嬉しく思います。
 美しく咲き誇る花の季節を愛でられる桜ですが、花を散らした後は、きっと忘れられていることでしょう。しかし忘れられている時が、自分を見つめ、充実させる時であることを、桜は知っていると、詩人高田敏子さんが「樹の心」と題する詩で謳っています。    
 春にこの見事な花を咲かせるためには、桜の芽吹きを眠らせるホルモンと、0度に近い低温の時期やその後20度前後になる寒暖の差が必要であり、冬の寒さの期間が不可欠であると言う、自然の摂理があります。
一度きりの人生、その中で、その人に何度か訪れる花の時を、思う存分精一杯生ききるために、日々の生活を、真面目に、ひたむきに過ごすことの大切さを、この詩は謳っているとされています。
 今、入学された皆さんにとって、次に来る花の時とは、資格を取得して、皆さんのことを待っている人たちのために、力を尽くす時であり、それに備える大学生活は、冬の桜の木のように、内面を充実させる時期であり、決して生易しいものではありません。
 災害の年であった「平成」の時代を経て、理不尽さと、生きる希望などを学びながら、自分らしい専門職として、自分を誇りに思える花の時のために、力を尽くして頂きたいと思います。
 ところで、昨年末に、鹿児島県のある学校で起こった生徒の自殺について、調査報告書がまとめられ、教員に追い詰められた結果の死である、との結論が出されました。
 「子どもの言い分をしっかり聞かない教員」「子どものこと(内面や心)を見ていない教員」「保身のために子どもを陥れるウソを付く教員」など、教師失格と言われても仕方ない事象として報告されています。教師である前に、人としての資質が問われています。
 専門職に対する信頼を裏切らないためには、専門の知識や技術だけでなく、豊かな人間性が求められます。
 本学では、命の大切さを初めとして他者への優しさや思いやりなど、人の心を大切にする、人としてあるべき基本を身に着けるべく、授業はもちろんのこととして、様々な教育活動を楽しく展開してまいります。
 本学は、奈良女子大学の前身である奈良女子高等師範学校の同窓会「佐保会」によって創設されて以来88年の歴史があり、壇上の校旗に縫いこまれている奈良佐保短期大学の徽章も、奈良女子高等師範学校の徽章を参考にして作成され、奈良の都のシンボルである八重桜や、人としての模範を意味する、中国、唐時代の鏡が、おさめられています。また、式次第の裏面にある本学のシンボルマークは、奈良佐保短期大学のイニシャル、NとSをモチーフに、スクールカラーの茄子紺を基調としてデザインされ、奈良佐保短期大学の伝統と、若葉の間から太陽が昇る未来とを示し、両手で大切なものを包み込み、曲線からは、羽ばたく躍動感が感じられ、本学の建学の精神および教育理念にある「自己と他者を尊重し、教養見識をもって、自ら羽ばたき、社会に貢献する行動力」を表現しています。
 入学生の皆さんには、この徽章やシンボルマークに込められた「素晴らしい伝統を受け継ぎ、人の手本となる生き方を通して、社会に貢献する」という精神を心に刻んで、これからの学生生活を実りあるものにしていただきたいと願っています。
 さて、2013年に、来る2020年のオリンピック東京大会を招致する演説で、パラリンピック選手である谷真海さんが、スポーツの力を訴えました。「骨肉しゅで足を切断した19歳の時、初めて義足で走った経験を鮮烈に思い出す。」「できないことを数え、全てをマイナスに考えていた時期、不可能と諦めていた一つが走ることだった。」「堅い殻を破り、突然自由になった思い。10メートル走っては転びつつ、徐々に距離を伸ばした。」「一度失った翼をスポーツで取り戻した。ご飯がおいしくなり、失敗さえも楽しいと思え、心ひとつで人生は幸せになるのだと知った。」
 皆さん、自分には不可能だと決め付けてしまっていることはありませんか。これから始まる大学生活で、自分を見つめ直し、新しいことを知る楽しみや面白さ。人の思いを受け止め、その思いに対応することから生まれる信頼など。授業や実習を通して、「なりたい自分」に向けて、大きく羽ばたき、心の持ち方で人生は幸せになるということを体で感じとってください。
 結びに、「努力は人を裏切らない」「今日の努力は明日の喜びにつながる」そのような経験を重ねながら、卒業後も、自分を励ましてくれる「素晴らしい思い出」が心に残る、そのような奈良佐保短期大学での学生生活になることを祈って、お祝いの言葉と致します。
                                         (平成31年入学宣誓式 式辞より抜粋)