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2018年03月27日

はなむけの言葉


 めでたく卒業・修了を迎えられた皆さん、おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

皆さんが授与された卒業証書や修了証書は、奈良佐保短期大学で、「なりたい自分像」に向けて、皆さんが努力した成果であり、またそれを支えていただいた多くの方の熱い思いが込められています。感謝の気持ちとともに大切に受け止めておられることでしょう。
皆さんはこれから、大学で学んだ知識や技術を活かして仕事に携わる人、さらに学びを深めるために進学する人など様々ですが、皆さんを取り巻く社会の状況は、変化し続けています。そのためにも、卒業後も、求められる人材として、常に知識技術など必要な資質を高め、実践力や判断力を磨き、社会の期待に応えていただくことを願っています。

皆さんは、これまでにも、自分の努力が報われないなど、思い通りに進まないことに遭遇して、社会は決してフェアではないことを、実感されていることでしょう。これからも、自分が正しいと思っていることが否定される。無理なことを押し付けられる。一生懸命仕事をしているのに評価してもらえない。さらには責任を押し付けられるなど、学生時代には経験していない苦しいことや辛いことに晒されることがあるかもしれません。なぜ、自分がそのような目に遭わなければならないのかと、人や社会の所為にしたとしても解決にはなりません。そのような時、みなさんはどのように対応しますか。吉野源三郎原作の「君たちはどう生きるか」が今ベストセラーとなっていますが、正に、皆さん一人ひとりの生き方が問われています。これまでも、困難に出会い、それを解決できた時、自分が一回り大きく成長したと感じた経験はありませんか。世の中のアンフェアをただ嘆くだけではなく、成長するチャンスだと捉えて、挑戦してみようと考えてください。辛いことがあっても現状を受け入れ、乗り越えていく心の強さを、皆さんは大学生活の中で培ってきていると私は信じています。この人物ならきっと乗り越えられると神様が信じて、皆さん一人ひとりに課せられた試練だと思って、一つまた一つと越えていっていただきたいと思います。

また、人と関わることが日々の仕事となる皆さんは、一人ひとりの身になって対応することの難しさに戸惑われることもあるでしょう。そのような時、皆さんの持つ優しさで、関わる人に、特に子どもたちには、明日が待ち遠しくなるような気持ちを育んでもらいたいと思います。皆さんは、自分の優しさに気付いておられないでしょうが、私は、授業であるいは大学祭等様々な場面で皆さんと触れ合ってきました。その折々に、皆さん一人ひとりの優しさを感じることができ、非常に嬉しく思ったものです。優しいと言う漢字は、嘆きや悲しみ、心配などの憂いに人偏を沿えて、人が寄添う形をしているとも言われています。皆さんの優しさを、人に寄添い分かち合う気持ちへと高め、明日に希望が持てる生き方を通して、人々の日々の生活が楽しくなる職場づくりや地域づくりの中核を担っていただくことを期待します。

奈良佐保短期大学で過ごした日々の何気ない感動の一つ一つを、自分の誇りや勇気の源となる大切な思い出として、優しさと強さを持つありのままの自分を大切にしながら、自分のため、また人のために悔いのない人生を歩まれることを重ねて願い、はなむけの言葉といたします。


                                                   (平成29年度卒業式式辞より抜粋)