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2013年08月07日

郷土愛


7月23日(火)、「県内大学生が創る奈良の未来事業」の公開コンペがありました。本事業は、「経済の活性化」や「くらしの向上」に取り組み、より良き奈良の未来づくりをすすめる奈良県が、県内の大学生による奈良の政策提案を募集し、選ばれた提案を事業化するという企画です。奈良佐保短期大学ビジネスキャリアコース1回生のチームも本事業に参加すべく準備を進め、書類審査を通過しました。今回、書類審査を通過したのは7つの大学生グループです。7月23日は、本学をはじめ書類審査を通過した7つの大学のグループによる公開コンペとなりました。

当日は、大学生グループによるプレゼンテーションや審査委員の質疑応答がありました。いずれの政策提案も、「観光や文化の振興」「地域産業の支援・創出」あるいは「県内消費の拡大」など、今県が最も重要と掲げる政策課題と共通するものであり、学生たちが、今の奈良県の状況をしっかり把握して、課題を見出し、その解決に向けて実行性のある事業を提案していると感心いたしました。

本学の生活未来科ビジネスキャリアコース1回生の4人が提案したのは、「『眺望のいいレストラン』を活用したクリエイティブツーリズム」です。奈良県から認定された9つの『眺望のいいレストラン』を拠点として、奈良県を訪れる観光客の増加を図る事業です。現在、『眺望のいいレストラン』の一つである本学の「学生レストラン鹿野園」は、毎日多くの一般の皆様にもご利用いただき、食のひと時を楽しんでいただいております。そこを拠点に、特産の大和野菜を活用した新メニューの開発や特別講座・イベントなどを産学協同で取り組むだけでなく、レストランの周辺を学生のガイドで巡り、参加者自身が埋れている地域の観光魅力を掘り起こす「クリエイティブツーリズム(創造観光)」を組み合わせ、「みんなでつくる」新たな観光のモデルケースを作ることで、人や自然、歴史や文化など様々な出会いが生まれ、楽しめる観光スポットとして、訪れる人を増やすことを企てる提案でした。
この提案は、学生たちが、日々生活する大学内の学生レストラン「鹿野園」と、地元産の大和野菜の活用や自分たちが歩いて見つけた近隣の遺跡などから思いついたとのことです。学生らしい取組が満載の政策提案でした。

4年生大学の学部生や大学院生に交じって、入学4ヶ月に満たない短期大学生が、多くの来場者や奈良県知事を委員長とする審査委員の前で、自分たちが考えた政策を堂々と提案する姿に、頼もしさを感じました。私は学生に、2年間の学生生活を通して、奈良佐保短期大学に故郷を感じてもらいたいと思っています。しかし学生たちは、私の想いを越えて、進学の縁で関わりのできた奈良を、住人が住んで良かったと思い、誇ることのできる町にしたい、さらに外国人を含めてリピーターや通年型の観光客を増やして、奈良の魅力を日本全国や世界に知って貰いたいという、郷土愛にも似た思いを持っていること、そして、それを発信していることを、うれしく思いました。

残念ながら入賞は逃しましたが、この体験が、学生たちに人生の次なる挑戦の火種となることと期待しています。そのためにも、この提案を実現させるべく工夫を重ねたいと考えています。