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2017年03月17日

はなむけの言葉


めでたく卒業を迎えられた皆さん、誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

2年前の入学式で、短期大学での2年間の学びは厳しいものである。将来どのような自分になりたいのか、自分を見つめ直して、目標を見失うことなく、実りある学生生活を送っていただきたいとお話しいたしました。
今、皆さんが授与された卒業証書は、その成果であり、奈良佐保短期大学で、皆さんが「なりたい自分像」に向けて模索した喜びや悲しみ、怒り、楽しみなど、またそれを支えていただいた多くの方の熱い思いが込められています。感謝の気持ちを忘れてはいけません。
皆さんはこれから、大学で学んだ知識や技術を活かして、専門職やビジネスの実務家として仕事に携わる人、さらに学びを深めるために進学する人など様々ですが、皆さんを取り巻く社会の状況は、常に同じとは限りません。社会の進歩が個人の判断力の先を行くことが往々にしてあります。そのためにも、常に社会が求めるものを把握して、知識技術など必要な資質を高めながら、判断力を磨いてください。また、対人専門職として人と関わることが日々の仕事になる皆さんにとって、他者を理解する事は、基本であり欠くことのできないものです。価値観が多様である一人ひとりの身になって考えることは、簡単なことではないことを、学外施設実習等においても経験されたことでしょう。

梅雨期に「週末は雨が降らないといいですね」と語った放送に、「農家では雨が降らないと困るんだ」と抗議の電話が殺到したなど、様々な境遇の人の思いを想定することの大切さを再認識しなければなりません。誰にとっても、自分の持つ常識を疑うことは難しいことです。しかし、課題に直面した時、自分一人で自問自答するだけでは、空想に終わってしまいます。そこで、心を開いて語れる人と疑問を投げかけ合い対話することが求められます。
「大学入学前は自分が嫌いであった。今は、他人と比較せず、ありのままの自分を受け入れ、他人と違うところ、それが自分の良いところだと思える。」
「一生懸命に頑張ることをダサイと思っていたが、失敗することから逃げている自分に気づいた。」
「他人の感謝の言葉や褒め言葉を素直に受け入れる自分に気づいた。明るく笑顔を忘れず、人に幸せを届けられる人になりたい。」と語るなど、皆さんは、大学で、友人や先生方との関係を通して、色々なことに気づく自分を知り、自らを見つめ直して、素の自分、ありのままの自分を大切にしながら、対話力をはじめとして、自然体で、他者との関係を作り上げる姿勢を身に付けてきました。それをこれからの社会で、活かしていってほしいと思います。
また、生活未来科生活福祉コース2回生の皆さんは、成果報告会で、NHK連続テレビドラマ「あさがきた」のテーマ曲、「365日の紙飛行機」の歌を披露してくれました。その歌に乗せて、自分たちのこれからの生き方を皆で確認しているようで、感動しました。
秋元康さん作詞によるその歌詞は次のようなものでした。

人生は紙飛行機、願い乗せて飛んでいくよ、風の中を力の限り、ただ進むだけ、
その距離を競うより、どう飛んだか どこを飛んだか、それが一番 大切なんだ
さあ 心のままに 365日
星はいくつ見えるか、何も見えない夜か、元気が出ない そんな時は、誰かと話そう
人は思うよりも、一人ぼっちじゃないんだ、 すぐそばのやさしさに、
気づかずにいるだけ
人生は紙飛行機、愛を乗せて飛んでいるよ、自信持って広げる羽根を、
みんなが見上げる、折り方を知らなくても、いつの間にか飛ばせるようになる、
それが希望 推進力だ、ああ楽しくやろう 365日
飛んで行け! 飛んでみよう!

この歌声から、これからの人生を乗り越えていくためには、専門的な知識や技術だけでなく、人として生きる力を身に付けて豊かな人間性を育んでいくという意思が伝わり、頼もしく思いました。
卒業される皆さん、自信をもって社会に飛び立ってください。人生で大きな感動に出会える機会はそう多くはありません。一つ一つの何気ない小さな感動を大切にすることを通して、大きな感動に出会います。
奈良佐保短期大学で過ごした日々が、皆さんにとって良い思い出となり、それが誇りや勇気の源になって、ありのままの自分を大切にしながらも、学び続ける謙虚さを忘れず、真心と思いやりを心のエッセンスとして、自分のため、また人のために、悔いのない人生を歩まれることを重ねて願い、はなむけの言葉といたします。

(平成28年度卒業式式辞より抜粋)