■地域こども学科幼児教育コース : 卒業生の活躍

Q.仕事のことについて教えて下さい。
岡井さん
僕は今、働いている保育園の卒園児なんです。小さいときにもそこに通っていたし、大学の保育所実習も、この保育園にお世話になりました。2回生の実習が終わってから園長先生に、ここの保育園では夜間保育をしているのだけど、夜間保育のアルバイトをしないかって誘われたんです。そこでこの保育園でアルバイトをすることになりました。アルバイトをしながら、この保育園の就職試験を受けて合格、就職しました。
Q.今はどのような仕事をしていますか。
岡井さん
1歳児のクラスの担任をさせていただいています。1歳児といっても月齢の違いというものがあります。僕は1歳児のなかでも、月齢が後半の小さいこどもたちを保育しています。一日の生活には、食事とか睡眠、着脱など色々あるんですけど、そういう生活をみながら、絵本を読んだりリズム運動をしたり、皆で散歩にいったり、そういうことをしています。
僕はピアノも上手じゃないし遊びもまだまだなんですけど、小手先のテクニックというよりはむしろ、こどもと一緒に楽しむことが大事だと思っています。保育士が楽しんでいるからこどもも一緒に楽しめる。それが一番大切なことではないかと思っています。
村田さん
僕は男なのですが、現場ではやはり女性が多いんです。女性はこどものひとつひとつの行動にせよ、見るところがとても細かいんです。僕は就職して2年目で経験がまだ浅いですし、そういう部分はなかなか目が届かなかったりっていうところはあります。そのなかで僕が今できることは、こどもと楽しく遊ぶことですね。
「しっぽとり」っていうゲームを知っていますか。お尻にしっぽをつけて、待て待てっておいかけて、しっぽを鬼にとられたら負けというゲームです。例えばこどもに鬼をしてもらう。自分がしっぽをつけて逃げる。そのとき僕はこどもよりも早く、うわーって本気で逃げたりする。そうすると「しっぽとり」がなかなか終わらなかったりするんですけどね。そうやって本気で遊ぶ。こどもと遊ぶのだったら自分が楽しくないと。こどもに楽しく遊ぶ姿をみてもらう。そうすることでこどもも楽しくなるし、こどもはついてきてくれるんです。
Q.保育士をしていてよかったと思う事はありますか。
岡井さん
去年は2歳の担任をさせていただいていました。2歳といってもいろいろなこどもがいます。ご飯のときに野菜が全然食べられなかった子、朝にお母さんと別れられない子、皆が遊んでいる中に入ることができないで、ちょっと立ち止まってみている子。いろいろな子がいます。でも1年間、いろいろなことを一緒にしていくなかで、こちらは毎日見ているからこどもの成長にはなかなか気がつきにくいもので、実習生から「先生、この子はこんなことができるようになったんですね」って教えてくれることもあるんですけど、1年を終えて立ち止まって振り返ると、
こどもの成長を間近で感じることができるっていうのは、保育士をしていて、いいことのひとつだなって思います。
Q.苦労したことはありますか。
岡井さん
人と相手をしていると、教科書どおりにはいかないことがとても多くある。教科書や参考書を読んでも、こう書いてあるけどうまくいかないとか、この本にはこどもとこう関わったら距離を埋められるとか、こうすれば盛り上げられるとかあっても、その時その時によって全く違う。その時々の状況や、だんだんと積み上げて来た経験で、いまなんとか応じているところです。答えがない、これをしたら絶対成功するということがないというのが、保育の仕事で難しいところですね。
Q.保育士はこどもだけではなくこどもの保護者や家族とも深く関わる仕事ですね。
岡井さん
昔と今とでは、こどもの保護者の考えも大きく違ってきているところもあると思います。保育園まかせの保護者もいたり、文句をおっしゃる方もおられたりします。でも、こどもを育てる上で、保育士だけがこどもとうまいことやっていったらいいのではない。保護者も保育士も一緒になって、こどもを育てていくわけです。もちろん保護者とのコミュニケーションもいきなりとれるわけじゃないです。最初は挨拶をして、こどもの様子を伝えたり。こどもにとっていいことかどうかを考えながら、こどもの様子を保護者に伝える。もちろん、この伝え方もとても難しい。
Q.学生時代に印象に残ったエピソードはありますか。
村田さん
保育士資格をとるためには、保育所実習のほか、知的障害児施設や乳児院など、児童福祉施設へも実習にもいきます。
僕は児童福祉施設の実習では児童養護施設に行きました。そこには小学校二年生の男の子がいたんです。その子は僕がきた時から全く一緒に遊んでくれない。施設には口が悪い子もいるんです。家族と離れてここで暮らしているわけですし、いろいろな思いがあるからだと思います。その子は「あっちにいけ」「死ね」っていう言葉を普段から使うこどもでした。でも施設実習は10日間しかない。何とかこの子と遊びたい。そういう気持ちが実習中、ずっとあったんです。
「あっちいけ」「死ね」と言われても、あきらめずに何度も関わろうと思って、繰り返し繰り返し、その子と一緒にご飯食べたり、お風呂に一緒に入って身体を洗ったり。それを続けていたら、その子もだんだんと心を開いてくれた。笑顔を見せてくれるようになった。小学校二年生だから素直なんです。自分も素直な気持ちを相手に出せば、相手にも伝わる。
実習が終わる二日前くらいに、その子が僕に「一緒に遊ぼう、お兄ちゃん」って言ってくれた。すごく嬉しかった。もっとこの子と関わりたいって強く思った。
施設実習が終わって、もう帰らなあかんっていう時間になって施設を出るとき、「お兄ちゃん、帰らんといて」って泣いて。その施設はいろいろな大学から実習生を大勢引き受けているそうなんですけど、その子はこれまでどの実習生にも全く寄り付かない子だったそうなんです。その子が僕に対して、泣いて「帰らんといて、ここに一緒に住んで」って。施設の方から、今までそういうことがなかったっていうことを後から聞きました。
大切なのは、「あきらめないこと」。何度も関わり持とうとすれば、いつか結果が出ると思う。実習というのはとても短い期間です。こどもに拒否されたりしたとき、嫌だなって言う気持ちが出るかもしれない。でもあきらずに関われば、相手に何か伝わると思う。行き詰まったときでもへこんでいる暇はない、どんどんこどもに関わってきてもらいたいと思っています。
Q.学生時代にしておくとよいことはありますか。
村田さん
学生時代はピアノの練習をしたらいいですね。ピアノはできて損はないと思います。
また、ボランティアなどでこどもと実際に関わるチャンスがあれば、ぜひやってほしいと思います。何もしないよりはいい、失敗してもいい。こどもと関わる経験が自分のなかにつくと思うので、ぜひしてほしいなと思います。
岡井さん
ピアノが苦手な方もいると思います。僕も学生のとき全然勉強していなくて。苦手なものは練習しにくいって思うんですけど、好きなことと一緒に伸ばしていけたらいかな。例えば自分で好きな絵本を集めたりとか、小さな事でもいいからやっていってほしいなと思います。
Q.保育者をめざす方へのアドバイスをお願いします。
岡井さん
「挨拶」です。基本的なことですけど挨拶というのは大切で、これができる人とできない人とでは印象が違います。もうひとつは、人と話をするときに目を合わせること。当たり前のことのように聞こえるかもしれないけど、意外とできなかったりします。本当に基本的なことをもう一度見直して、挨拶ができているかなとか相手の方向で話しているかなというのを見直していただけたらいいかと思っています。
村田さん
小学校からずっと野球をやってきたんですけど、そのなかで教えられてきて今でも活かされているのは、「礼儀」ですね。挨拶、礼儀、配慮。それは最低限やらないといけない。誰でもできることです。それをするかしないか、それで周囲の影響が変わるんです。そこは大切なので、今の間から練習しておいてください。
それから、保育士として必要なのは、こどもの発達段階を知っておくこと。こどもの障がいなどの発見も早くできます。自分も大学のときに使った教科書をもう一度みながら、保育をしています。
岡井さん
こどもたちは病気をしながら大きくなっていくんです。病気の目安、インフルエンザとかノロウィルスとか。大学でも病気については授業があったのですが、すぐ忘れてしまうので何度も読み返しながら。病気について書かれているハンドブックもありますから、そういうのがあると役に立ちます。
先に発達の話もあったけど、皆さんは保育所保育指針について知っていますか。月案や週案を書くときに僕も参考にするのですが、そこに書いてある「保育士の配慮」、どういうことを大切にして保育をしたらよいか。そういうものを振り返ってみていただけたらいいなって思います。










村田さん
僕は民間の保育園で働いています。僕は幼児教育科を卒業した後に、保育士と幼稚園教諭の資格をとって専攻科に進学したんですけど、専攻科の学生だったころ、その保育園でアルバイトを募集していたんです。そこで専攻科の1年間、大学に通いながらその保育園でアルバイトをしていました。アルバイトをしていくなかで、ここの保育園はとてもいいなって思って。そのまま就職することになりました。皆さんももし、ここで働きたいという保育園や幼稚園がみつかれば、是非そこでアルバイトなりボランティアなりをしてもらったらいいと思います。