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こども保育コース/保育ソーシャルワークフィールド

地域こども学科



谷口さん 有本さん 

2007年卒業 2014年卒業

勤務先のことを教えて下さい

谷口:私達は児童養護施設に勤務しています.簡単にいうと,子どもたちが自立できるようにする施設です.児童養護施設には,様々な家庭で,様々な事情で,親や家族と一緒に住めない子どもたちが住んでいます.その子どもたちと一緒に生活し,ご飯を食べたり散歩にいったり,勉強を教えたり.保護者がしてきたことをします.施設に通う子どもたちは地域の幼稚園,小学校,中学校,高校に通います.例えば中学生を担当していた場合は,中学校の三者面談に保護者として面談に行ったりとか.

有本:食事も作ったりします.朝ごはんとか夕ごはんとか.

谷口:児童養護施設には様々な形態があります.大舎制、中舎制,小舎制,グループホーム…….そのなかで私達が勤務する児童養護施設は「ユニット制」をとっています.子どもたちがユニット,家ごとに分かれていて,そこには10人以下の子どもが住みます.運営もユニットごとにしています.ユニット内で担当制をとっていて,各ユニットに配属された職員が,そのユニットのなかの何人かの子どもを担当します.

有本:僕は小学生を担当しています.

谷口:僕は今,幼稚園,中学生,高校生の3人を担当しています.
 それから僕は,ユニットリーダーもしています.ユニットリーダーというのは会社でいうと係長くらいかな.ユニット全ての子どもの保護者と連絡をしたり,児童相談所と協議をしたり.子どもによって,目標はいろいろあって,家庭復帰だったり自立だったりしますので,子ども全てのことを把握して,子ども一人ひとりに合わせて調整をします.
 その他,SV(スーパーバイズ),職員への助言や指導もしています.
 就職して5〜6年目になると,主任やリーダーという立場になります.そうすると,児童相談所など,行政との関わりが増えます.行政と対等に意見を行ったりモノを言ったりしないといけません.子どもの普段の姿は,日頃から子どもと関わっている施設の職員が伝えます.

有本:児童相談所との協議は情報共有が目的です.それによって,子どもの長期的目標を立てたりします.児童相談所からは家族の状況を聞いて,僕達からは子どもの様子を伝えて.意見共有することが一番大事です.子どもが今後どうなるのかが決まりますから.

ユニットのなかはどんな感じですか.

谷口:私達のところは恵まれていて,高級マンションみたいなイメージかな.玄関から入るとダイニングです.オール電化の対面式キッチンがあって,12人座れるカウンターテーブルがあります.広い和室ではテレビが見られるようになっています.廊下ひとつひとつには個室があって,そこには二段ベッドと机が設置されています.トイレや洗面台2つ,洗濯機2台.家族で住むなら充分なスペースです.
 それを聞いて,すごい施設だと思うかもしれない.でも,想像してみてください.そこに住むのは家族ではないんです.他人が集まって,そこに住んでいるんです.それはどういうことか,考えてほしいと思います.

働くにあたって,準備することはありますか.

有本:児童養護施設にかぎらず,保育に携わるなら,子どもを観る目をつけてほしいな.例えば子どもが朝起きて,いつもと違うなとか.宿題が思うように進んでいないなとか.普段の様子と違っていたら「今日はどうしたの」と声をかける.日々の雰囲気とか,子どものそういうところに気づく力を養うことが大切になると思います.

谷口:今のうちに,正しい生活リズムで生活すること.これをやってほしいですね.子どもたちは保育者をよく見ています.それは施設であろうが外であろうが,見られているのは同じです.誠実な人間でなければいけません.子どもに求められる人,何か子どもにしたいと思っている人,そうなろうという意識を持つことが大切です.

 もうひとつ大事なことは,情報収集をする力.保育者として就職する時,施設であろうと保育所であろうと幼稚園であろうと,あるいは企業への就職であろうと,入ってすぐ辞める人っていますね.その理由を聞くと,理想と現実とが違ったっていう場合が多い.でもそれは理由になっていないと思います.本当は,入る前に多くの情報を得ることが大切.情報をどれだけ仕入れているか.職場の情報だけでなく,その職場のある地域の情報とかね.そういう多くの状況を多く準備すれば,そういうことが起こりにくくなると思いますよ.
 よく,就職1年目は意見が言いにくい,意見が通らないって言われることがあります.それは経験がないからだと言われることがありますね.確かに,経験のある人の意見は,よく聞こえるかもしれない.でも就職1年目の新人だって,いい意見を言っていることもある.知識と情報の裏付けがあれば,経験のある人と対等に意見が言えると思います.知識と情報を仕入れる力を持つことが大事です.

学生のうちにしておくべきことはありますか.

有本:就職してからの勉強は必ず必要.まずは漢字がきちんとかけないと.それは基本ですけど.子どもたちのなかには受験を控えている者もいます.そういう子どもたちを導くわけですから.

谷口:それから,文章力をつけること.実習生をみていると,文章能力に乏しい人がいるのが気になります.振り返りで話してもらうと,けっこういい意見を言っているのに,表現力がない.社会人って,話して分かってもらうということばかりではない.書面でどれだけ表現できるかが大切になります.学生のうちに,文章力をつける努力をしてください.
 授業では「社会福祉」を充分勉強してほしいです.例えば,障がいについてだとか,心理だとかの勉強は,子どもに直面するなかで,必ず勉強をすることになると思います.勉強しなければという思いも強くなると思う.でも制度についてはなかなか勉強に手が届かない.保育の現場にいると,そういう枠組みの部分は勉強したくてもなかなか行き届かないものです.僕だって学生の時は,なんでこんなことやるねんって思っていたし「社会福祉」って難しいって思っていたんだけど.でもぜひ,制度面のところ,枠組みのところは学生時代に勉強してほしいです.

難しいこと,困っていることはありますか.

有本:社会経験に乏しい子どもたちがいることです.切符の買い方,郵便局でお金を下ろす方法,貯金の仕方などが分からない子どももいます.そういう子どもたちに対して,どうやったらそういうことを経験をする機会を与えていけるか,きめ細やかに対応していくことがなかなか難しいです.

谷口:保育,福祉の仕事って,バーンアウトシンドローム,燃え尽き症候群のことが,問題になることがあります.保育の仕事や福祉の仕事は,目標設定がしにくいという特質があります.例えば,営業職だったら,売上いくらを目標値にして,それに達成すれば評価されるとか.そういうのはモチベーションに繋がります.でもこの仕事はそういうのがない.どういうのが評価されるのか,どこを目標にするのか.個人でモチベーションを上げていかなければならない.そのあたりが難しいところです.

今の職場のやりがいは?

有本:今の職場には多くの先輩がいます.奈良佐保短期大学出身の先輩もいます.そういう先輩がいる職場で仕事ができるのは楽しいですね.
 あと,子どもたちがとても元気.寒い日もずっと外に出て遊びます.子どもたちから元気をもらえますね.

谷口:保育の仕事のやりがいは,人に関われるところ.保育の仕事以外だと,人に関わる仕事というのは,自分の家族,妻や子どもくらいだと思います.この仕事だからこそ,人の人生に関われて,人生に寄り添うことができます.もちろん,しんどいこともあります.子どもが言うこと聞かないとか暴れるとか,自分の思ったようにできないとか.でも,それに見合うだけのものがあります.
 それから,自分の職場でいうと同世代が多いこと.同じ年代で,同じ温度で仕事をしています.例えば何か職場でやろうと思ったとき,既成概念にとらわれないで色々なアイディアがでる.大学祭みたいに,皆で力を合せてできます.例えば,子どもたちと宿泊で旅行にいく企画を作ったとします.旅行にいく前に,職員が先に現地に下見をして,その下見ビデオを作るんですよ.そうすると楽しみが倍増します.そういうアイデイアは普通,なかなか出てこないですね.

これからしたいことはありますか.

有本:夏休みとか,長期の休みに子どもたちとおもいっきり過ごしたい.例えば長期的に宿泊で遊びにいくとか.子どもたちはそういう機会がなかなかないので. 谷口:子どもにスポットのあたる,社会づくりがしたいです.よく,社会保障のテキストとか見ると,高齢者1人を何人で支えているか,ということがイラストであったりしますよね.あのイラスト,逆にならないかなって普段から思っているんですよ.子ども一人あたり,何人が支えているかっていうイラスト,見たことありますか.そういうイラストが書けないかなって.子どもたちを支えるためには,どうやったらいいか,そういうことを日々考えています.